体験経済の次は“循環経済”──ユーザーはどこで心を動かされるか

体験経済の次は“循環経済”──ユーザーはどこで心を動かされるか

かつてモノが不足していた時代、価値は「所有」にありました。しかし豊かさが行き渡った現代では、モノそのものより「体験」に価値を見出す「体験経済(Experience Economy)」が注目されてきました。旅行や音楽フェス、アウトドアやサブスクサービスなどは、所有を超えた“体験”をユーザーに提供することで市場を拡大してきました。

では、その次に来るものは何でしょうか。今、世界中で注目されているのが “循環経済(Circular Economy)” です。

1. 循環経済がもたらす新しい価値

循環経済は「つくる→使う→捨てる」という一方向のモデルをやめ、モノや資源を循環させる仕組みをデザインする考え方です。レンタル、リユース、リペア、リサイクル、買取などがその代表例です。

従来の体験経済が「消費の瞬間」を特別にするのに対して、循環経済は 「モノとの関係性を長くデザインする」 ことに価値を置きます。ユーザーが心を動かされる瞬間は、所有から解放されつつも、サステナブルで合理的な選択をしていると感じるときです。

2. ユーザー心理──心が動く3つのポイント

循環経済が広がる背景には、単なる環境意識の高まりだけではなく、ユーザーの心理変化があります。

  1. ストーリーに共感する瞬間
    「この製品は修繕されて誰かの手を渡ってきた」「売上の一部が環境保全に使われている」──そんな背景を知ったとき、ユーザーは“モノ以上の価値”を感じます。
  2. 合理性に納得する瞬間
    「レンタルすれば買うより安い」「使い終わったら買取がある」──経済的に合理的であると同時に、資源を無駄にしないという“二重の得”が心を動かします。
  3. 参加感を得る瞬間
    「自分も循環の一部になっている」「地球に貢献している」──社会的な意義に自分が関与している実感が、強いロイヤルティにつながります。 

3. 循環経済を成功させるデザイン視点

循環を仕組みとして実現するだけでは、ユーザーの心は動きません。必要なのは「体験として美しくデザインすること」です。

  • 透明性のあるストーリーテリング
    製品がどのように循環しているかを可視化することで、ユーザーは参加している実感を持ちやすくなります。
  • 摩擦のないユーザー体験
    返却や修繕の手続きが煩雑では続きません。UX設計の肝は“便利さ”の担保にあります。
  • 循環そのものを楽しめる仕掛け
    北欧のリペアカフェや、アパレルの「借り放題」サービスのように、循環が負担ではなく喜びになる仕組みが広がりを生みます。 

4. 体験経済から循環経済へ──次の成長ストーリー

体験経済が成熟しつつある今、ユーザーは「体験を楽しみながら、社会にも良い影響を与えたい」という欲求を強めています。循環経済はその欲求に応える新しいフレームです。

つまり、これからのブランドやサービスが問われるのは、

  • 循環をどう体験としてデザインするか
  • その中でユーザーの心をどこで動かすか

という問いです。

循環は“義務”でも“制約”でもなく、次の豊かさをつくる選択肢です。体験経済の先に広がるのは、「循環を楽しむ時代」。そこにこそ、ユーザーが心を動かされる瞬間が待っているのです。

 

弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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