多くの企業が在庫管理を「エクセル」や「Googleスプレッドシート」で始めます。導入コストがかからず、誰でも操作できる手軽さは大きな魅力です。しかし、事業が拡大するにつれて「表計算ソフトでの管理」には限界が訪れます。しかもそのリスクは、日常のちょっとした業務負荷として積み重なり、気づいたときには顧客体験や収益を損なう事態に発展しかねません。
昨今はAIによって従来に比べ簡単にマクロやGASを作れるようになり、「自分たちで簡易的な在庫管理システムを作ればよい」と考えがちです。実際、当社TENTでもGASを用いてレンタル品の在庫管理を行った経験があります。しかし、10商品・30在庫を週5件程度のレンタル希望で回すようになった頃から、自作システムでの限界を痛感しました。そこから得た知見をもとに、私たちはZAIKAを開発し、今に至っています。
ここでは、見落とされがちな3つの問題点を整理します。
1. 属人化と“隠れた運用負荷”
表計算ソフトは誰でも触れる一方で、誰でも間違えられます。
- 数式やマクロ/スクリプトを消してしまう
- 入力フォーマットが人によって違う
- 更新のタイミングが揃わない
こうしたミスは在庫誤認や販売機会の損失につながります。
さらに見落とされがちなのが「隠れた運用負荷」です。
- 商品や在庫マスタ、貸出台帳を自前で作りこまなければならない
- レンタルの予約や返却を管理するには、スプレッドシート上にカレンダーを表示する必要がある
- そのために複雑な関数やスクリプトを組む必要がある
つまり、在庫を管理しているつもりが、実は“簡易システムの自作・保守”を続けているような状態になってしまうのです。
2. リアルタイム性の欠如
Googleスプレッドシートは共有編集ができる点でエクセルより便利ですが、それでも在庫管理に求められる「リアルタイム性」には限界があります。
- 「返却されたはずの在庫が、まだ出庫中のまま表示されている」
- 「別部署で在庫を確保したのに、現場が気づかず二重予約が入ってしまう」
こうした情報の遅延や認識のズレは、レンタルサービスやEC販売の現場でユーザー体験を損ねる大きな要因になります。
3. 循環データを活かせない
表計算ソフトは“在庫数の一覧”を管理するには便利ですが、「モノがどのように循環したか」を把握するのには不向きです。
- 1つの商品がレンタルで何回使われたか
- 修繕やメンテナンスにどれくらいコストがかかったか
- 中古販売に回したときにどの程度収益を生んだか
こうしたデータが蓄積できなければ、循環型ビジネスの本当の価値──「在庫を資産としてどれだけ活かせたか」を測ることができません。
解決のカギは「仕組み化」
複雑なマスタやカレンダーをエクセルやスプレッドシートで自作するよりも、循環を前提に設計された仕組みを導入することが最適解です。
- ZAIKA
RFIDやスキャンによって在庫の位置と状態をリアルタイムに可視化。在庫がどこにあり、何度循環したかを正確に把握できます。 - カウリル
レンタル・中古販売・決済・買取までを一気通貫で管理。予約や返却のカレンダーも標準機能として備え、循環データを自動で蓄積します。
まとめ
エクセルやスプレッドシートは一見便利ですが、
- 属人化と隠れた運用負荷
- リアルタイム性の欠如
- 循環データの不在
という大きなリスクを抱えています。
特に循環型ビジネスに取り組む企業にとって、在庫管理の精度は事業の生命線です。ZAIKAやカウリルのような仕組みを取り入れることで、在庫を“負担”から“収益を生む資産”へと転換することが可能になります。
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。