“借りる”から始まる共感と行動の連鎖
循環型ビジネスが注目される中で、私たちTENTは、キャンプ用品からアパレル、電動自転車、電動モビリティに至るまで、さまざまなレンタルサービスを立ち上げ、運営してきました。その過程で見えてきたのは、モノが循環するだけではなく、ユーザーの意識や行動もまた、静かに変わっていくという事実です。
このコラムでは、TENTが現場で見聞きした「循環の中で生まれた共感と行動の変化」について、いくつかの実例を交えながら紹介します。
「買わなくていい」が安心につながる時代
あるファミリーキャンパーは、初めてのキャンプ道具をすべてレンタルで揃えた後、こう話してくれました。
「買ってから合わなかったらどうしようってずっと不安だったけど、借りてみたら“これでいいんだ”って思えた」
必要なときだけ、必要なモノだけを借りられる。その「仮置き」的な気軽さが、所有に伴うリスクや不安を和らげ、むしろ“自分に合う暮らし”を発見するきっかけになっていました。
そして何より、借りた道具を返却する時に、そのまま次の誰かへ引き継がれていく循環の流れに、自然と誇りや納得感を感じている様子がありました。
「借りる」行為が、思いやりを生む
ShareEase(シェアイーズ)という発想に共感し、「自分が借りたモノが次の人に気持ちよく届くように」と、丁寧に清掃してから返却してくれたお客様もいます。
モノの持ち主が「自分」から「社会」へと拡張されるとき、人の行動は変わります。大切に扱う、きれいに使う、ちゃんと返す──そのすべてが、誰かを思いやる行動に変わるのです。
TENTでは、返却された商品の状態に驚かされることもしばしば。新品以上に丁寧な取り扱いに、スタッフの方が恐縮してしまうほどのケースもありました。
「不要になったら売る」より、「最初から借りる」
また、あるアパレルのレンタルサービスを利用した女性は、「毎回着たい服を選んで返せるから、クローゼットがスッキリした」と言います。彼女にとっては、所有は“負担”であり、選び直せる自由が“解放”でした。
このようなユーザーの言葉に、私たちは何度も気づかされました。レンタルは「節約」ではなく「選択の自由」を手に入れる手段なのだと。
こうした体験を通じて、ユーザーは“買って手放す”より、“借りて必要なぶんだけ使う”というライフスタイルへと移行していきます。結果的に、無駄な消費は減り、環境負荷も軽減されるのです。
循環の現場で感じた3つの変化
TENTがサービス提供を通じて体感した、ユーザーの変化は主に次の3点に集約されます。
- 消費から参加へ
ただモノを使うだけでなく、「循環に参加している」意識が芽生えている。
- 所有から体験へ
使った後に手放せる安心感が、体験の幅を広げている。
- ブランドから信頼へ
借りるモノの“背景”や“次の人”を意識することで、ブランドへの信頼が深まっている。
TENTが信じる「循環が生む信頼」
循環型ビジネスは、単なる在庫の再利用モデルではありません。モノの裏側にある人と人のつながり、そして「次の誰か」の存在を意識できるかどうかで、サービスの質は大きく変わります。
TENTが大切にしているのは、循環のなかで“やさしさ”が育っていくような仕組みをつくること。それはデザインの話でもあり、運用の工夫でもあり、ストーリーテリングの力でもあります。
モノを貸す、返す、また借りる。そんな当たり前の動作の中に、他者への想像力と共感が育まれていく──私たちはその現場を何度も見てきました。
おわりに──循環は人の心も動かす
循環は経済の仕組みであると同時に、人の心のあり方にも関わるテーマです。ユーザーが体験を通して「自分もその一部である」と実感できたとき、循環型サービスは単なる利便性を超えた価値を帯び始めます。
TENTはこれからも、「循環があたりまえにある暮らし」を、より軽やかで、気持ちよく、心地よくしていく挑戦を続けていきます。
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。