リアルで馴染み、ネットで戸惑う──レンタルの二面性

リアルで馴染み、ネットで戸惑う──レンタルの二面性

スキー場では当たり前なのに、ネットだと不安になる。その感覚の正体とは。

「レンタルって、昔からあるよね」
多くの人がそう感じています。

実際、私たちは知らず知らずのうちに、さまざまな場面でモノを借りてきました。
スキー場で板やウェアを借りる。卒業式で袴をレンタルする。引越しでトラックを一日だけ使う。
**対面で、現場で、モノを“その場で使う”**ことに、私たちは昔からなんの抵抗も抱いていませんでした。

それなのに──。
同じレンタルでも、「ネットで借りる」ことには、なぜか違和感がある。

それはなぜなのか?
そして、なぜいま、オンラインレンタルは注目されているのか?
リアルとネットの“レンタル体験”の間にあるギャップに迫ります。

■「その場で借りて、その場で返す」ことの安心感

リアルなレンタルが受け入れられてきた背景には、即時性と人の存在があります。

  • スキー場なら、サイズの合わないブーツをすぐ交換できる
  • 卒業式の袴なら、その場で試着して着付けしてもらえる
  • 現地でスタッフと会話し、不安な点はすぐ質問できる

つまり、「失敗してもなんとかなる」安心感が常にそばにあったのです。

これに対して、オンラインレンタルでは──

  • 注文して届くまで、サイズや状態がわからない
  • 実物を見られず、選択が難しい
  • 問題があった時に、すぐに相談できる相手がいないように感じる

同じ“借りる”行為であっても、自分の手元に来るまでの「見えないプロセス」が長いことで、不安が生まれるのです。

■オンラインレンタルの“違和感”は、想像力を求められるから

ネットでレンタルをするには、
「どんな状態で届くのか」「ちゃんと届くのか」「壊したらどうしよう」など、
利用前に頭の中で“仮想体験”を描く必要があります。

これは、実はかなりの心理的負荷です。

オンラインショッピングであれば、最悪「返品すればいい」ですが、
レンタルは時間に縛られ、破損リスクがあり、返品もスムーズとは限らない

つまり、借りる前に「これは自分に本当に合うのか?」を何重にも考える必要があり、
これが「ネットレンタル=不安・面倒」という印象につながっているのです。

■それでも、オンラインレンタルが広がっている理由

一方で、ネットレンタルの利用は確実に伸びています。
そこには、**リアルにはない“解放感”と“合理性”**があります。

  • 現地に行かなくても、自宅にモノが届く
  • 使用後は箱に戻して返送するだけ。店舗に行く必要なし
  • 所有しないから、保管・管理・処分の手間がない
  • “必要なときだけ”モノを持てる新しい暮らし方

これらは、特に都市部でのライフスタイルや、ミニマリズム、サステナビリティ志向とも親和性が高く、
若い世代を中心に、新しい“使い方”の選択肢として受け入れられ始めています。

■「届け方」も「返し方」も、体験の一部にする

オンラインレンタルがリアルに劣るとすれば、それは「体験の密度」です。
実物が見えない、対面で話せない、選びにくい──
この“希薄さ”をどう補うかが、運営側に問われています。

たとえば:

  • 配送された箱の中に、使い方の冊子とメッセージカードを入れる
  • 商品の過去の利用履歴(「このギターは20人の演奏家に使われました」など)を伝える
  • 返却時に、**「使ってくれてありがとう」**というフィードバックを返す
  • サポートチャットを用意し、疑問がすぐ解消される環境を整える

こうした丁寧なコミュニケーション設計が、オンラインでも**“借りた”ではなく“使ってよかった”体験**をつくるのです。

■「借りる」は、関係性をつくる行為

オンラインレンタルの可能性は、単にDX(デジタル化)ではありません。
それは、人とモノとの関係性、ひいては人とサービス提供者との関係性をどう設計するかという問いでもあります。

ShareEaseのような世界観に代表されるように、
借り手と貸し手がただの「取引」ではなく、共通の価値観でつながる関係をつくること。

つまり、「壊さないでね」ではなく、
**「使ってくれてありがとう。また貸せるように戻ってきてね」**という関係。

リアルであれオンラインであれ、
“借りる”という行為が豊かになるかどうかは、その設計次第なのです。

弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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