アパレル、アウトドア、モビリティ、楽器、家電──業界別・循環型モデルの事例集

アパレル、アウトドア、モビリティ、楽器、家電──業界別・循環型モデルの事例集

“売って終わり”を超えた、モノとの関係性のアップデート。

所有から利用へ──。
そんな言葉が一般化する中で、レンタル・サブスク・リユース・買取再販といった循環型モデルは、単なる「売れ残りの出口戦略」ではなく、新たな顧客体験と収益構造を生む手法として定着しつつあります。

本記事では、循環モデルをすでに実践している5つの業界の事例をもとに、それぞれの背景・工夫・価値について読み解きます。

アパレル──“共感される服”の条件が変わった

ある都内のセレクトショップでは、高単価のアウターやドレスを月額の借り放題レンタルで貸し出すサービスを展開。
「まずは試したい」「1度の着用で済ませたい」といったライトユーザー層に刺さり、購入前の体験価値がLTV向上に貢献しています。

また、「循環型ファッション」というキーワードはサステナ意識の高いZ世代からの共感も得やすく、SNSでのシェアが増える結果にも。

ポイント:

  • サイズ違い・トレンド品・返品品の再活用
  • 短期利用ニーズとブランド体験を両立
  • 借りた商品に思い入れが生まれ、購入にもつながる導線設計 

アウトドア──“1回きり”のニーズが価値になる

キャンプ用品の購入には高額な初期費用がかかる上に、保管やメンテナンスの手間も。
Tentalのようなレンタルサービスでは、「使いたいときだけ借りる」ことが当たり前になりつつあります。

特にファミリー層や初心者には、「手ぶらでキャンプ」が魅力で、試してから購入するためのプレ体験としても機能。

ポイント:

  • 大型在庫を資産化せず運用
  • シーズン品・マニアック商品も効率よく回転
  • 使用回数や返却状態のデータが商品改善にも活用可能 

モビリティ──“所有しない交通手段”が市民権を得る

都市部を中心に急拡大しているのが、電動アシスト自転車のサブスクレンタル。
たとえば「チャリル」では、配達員や子育て層など、短期ニーズとライフスタイル変化に対応する手軽な移動手段として活用されています。

ポイント:

  • ライフステージの変化に柔軟に合わせる
  • 故障時の対応が「安心の循環」を支える
  • 一定期間後の買い取り・再レンタルも可能にし、個体のLTV最大化 

楽器──“挫折リスク”を受け止める循環の仕組み

島村楽器が提供するレンタルサービスでは、初心者向けにピアノやバイオリン、ギターなどを短期間で試せるプランが用意されています。
**「買ってからやめたくなる」ではなく、「やってみてから買う」**という選択肢が支持を集めています。

また、子どもの成長による買い替えニーズにも対応しており、サイズアップや別機種への交換もスムーズ。

ポイント:

  • 初心者・教育機関・イベント利用層への導入が容易
  • 使用中の満足度が購入率を高める
  • 音の品質・メンテナンス管理が差別化のカギ 

家電──“使ってみないと分からない”製品こそ、レンタルが生きる

冷蔵庫・洗濯機・オーブンレンジなど、“置いてみないと実感が湧きにくい”家電のレンタルも広がっています。
たとえば、ある国内家電メーカーでは、高機能モデルの短期レンタルを導入前のプロモーションとして活用。

結果として、「使ってみたら手放せなくなった」という声とともに、購入への転換率も高い数値を記録。

ポイント:

  • 機能の“体験訴求”を広告ではなく実利用で行う
  • サブスク併用型モデルでの収益最大化
  • レンタル→購入→買取再販という三段階モデルでの展開 

共通するのは、“モノの記憶”を活かした設計思想

どの業界にも共通しているのは、モノを「1人の所有物」ではなく、「複数人に使われていく存在」として捉えること。

そして、それを可能にするのが:

  • 商品ごとの個体管理と使用履歴の追跡
  • 利用者との丁寧なコミュニケーション
  • 再流通前提の設計・物流・運用スキーム 

たとえば、あるレンタルサービスでは、「このテントはこれまで32組の家族に使われました」と表示される設計を導入。
そこには、ShareEaseのような**“やさしくモノを分かち合う”思想がにじんでいます。**

おわりに:循環型モデルは、あらゆる業界に広がる“新しい正解”

レンタル・サブスク・リユースというキーワードは、もはや一過性のトレンドではなく、
**「価値を届ける手段」と「ユーザーとの関係性構築の器」**として定着しつつあります。

製品を作ること、売ることだけではなく、
「どう使われるか」「誰に次に渡すか」までを設計する時代へ。

循環型モデルは、業界を問わずその可能性を広げています。
そして、そこに参加するすべてのプレイヤーが、次のブランド価値を創る担い手になるのです。

 

弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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