捨てるには惜しい、売るには弱い──中途半端な在庫の出口戦略に「レンタル」

捨てるには惜しい、売るには弱い──中途半端な在庫の出口戦略に「レンタル」

売り切れなかった在庫こそ、ビジネスの資産に変えられる。

「この在庫、どうしますか?」
新規事業や商品開発、あるいは店舗閉鎖のタイミングで、必ず耳にするこの問い。
廃棄するにはコストがかかり、セールにかけても大きくは動かない。
けれど品質的には十分問題なく、捨てるには惜しい。

そんな“中途半端な在庫”をどう扱うかは、実は企業の「循環力」を試される問いです。
今、静かに注目を集めているのが、レンタルという出口戦略
在庫を“消化する”のではなく、“活かして稼ぐ”という視点の転換が、企業に新たな収益導線を生み始めています。

なぜ在庫は“捨てにくく、売りにくい”のか

在庫問題は、意外と複雑です。以下のような事象がよく見られます:

  • 型落ちしたが、使う分にはまったく問題のない商品
  • 展示品やサンプルで、新品ではないが使用には支障がないもの
  • 購入時期や色などが理由で売れ残った、いわば“理由あり”在庫

これらを通常販売すればブランド価値を損ねかねず、かといって廃棄は資源とコストのロス。
つまり**どちらにも振り切れない「グレーゾーン」**に、企業は対応を迫られているのです。

レンタルは「評価されない在庫」を“活かす”選択

レンタルに回すことで、こうした在庫が再び活躍する場を得られます。

たとえば:

  • 季節外れのキャンプ用品 → 夏前に体験キャンペーンとして貸し出す
  • リニューアル直前の電動家電 → 社宅や短期滞在者向けにレンタル提供
  • 型落ちのアパレル商品 → コストを抑えたい学生層にスタイリング付きで貸出

重要なのは、市場の“新品志向”とは異なる文脈で、使われる価値を再設計できるという点です。

売れなかった理由は、「使えないから」ではなく、「買うほどの魅力を感じなかったから」かもしれない。
ならば、“買わずに使える”という設計にすれば、ユーザーの受け取り方はガラリと変わります。

サーキュラー視点から見た“レンタルの出口機能”

レンタルは、循環型ビジネスの入口であり、出口でもあります。
たとえば以下のような活用法が見られます:

  • 買取した中古品の状態が微妙な場合、まずレンタルに回す
  • リコール対象外の部品交換済み商品を短期レンタルで活用
  • 返品後の再販が難しい商品を、法人向けに貸出契約で展開

このように、“再販に躊躇がある在庫”でも、レンタルという手段なら「時間をかけて使ってもらう」という形で価値を発揮できるのです。

「在庫管理」から「在庫運用」へ

従来、在庫とは「保管・管理」するものでした。
しかし今、在庫は**“運用”することで収益化する時代**に変わりつつあります。

これは投資運用の発想に近いかもしれません。

  • 流動性のない在庫を、キャッシュを生むアセットに転換
  • 売れなかったという負債感を、“活用できる資産”へ切り替える
  • LTV(顧客生涯価値)を在庫視点でも最大化する設計へ

こうした考え方は、ブランド価値を損ねず、サステナブルな取り組みにもつながります。

事業担当者こそ、最初に動ける

新規事業の担当者やストア運営チームは、最前線で在庫の「もったいなさ」に直面しています。

・まだ使えるのに処分せざるを得なかった悔しさ
・キャンペーン後に大量に残った販促在庫
・上位モデル発売で急に動かなくなった人気商品

これらを目の前で見ているからこそ、レンタルという小さなトライアルを始めやすいのです。

実際、弊社カウリルでも、多くの企業が“数十点の在庫”からレンタルを開始し、その後事業化につなげています。

おわりに:「そのまま売る」以外の道がある

企業が抱える在庫の中には、「価値はあるのに、文脈がない」ものが少なくありません。
だからこそ、売る以外の道を探す視点が、企業の持続可能性を支えます。

捨てるには惜しい。売るには弱い。
でも、「貸す」なら、ちょうどいい。

そんな在庫こそ、**これからの循環型ビジネスの“はじまり”**なのかもしれません。

 

 
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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