「貸して、返して」を仕組みに──総務部門こそレンタルDXの主役

「貸して、返して」を仕組みに──総務部門こそレンタルDXの主役

備品の管理は“人がやるもの”から、“仕組みで回るもの”へ。

「プロジェクターを貸した人、誰だったっけ?」
「そのパソコン、もう返却されてますか?」
「予備のWi-Fiルーター、まだありますか?」

――これは、ある大企業の総務部門で実際に聞かれた会話です。
社内の備品管理や貸出は、目立たないけれど日々発生する“仕事の裏方”。
担当者がスプレッドシートや紙の帳簿で記録し、口頭やメールでやり取りする。

非効率だけど、なんとなく回っている。
しかしその積み重ねが、担当者の業務負荷や「見えないコスト」になっているのです。

■ 総務の貸出業務は、実は“ミニレンタル業”

総務部門が担う物品貸出の多くは、
まさに社内レンタルそのものです。

  • ノートPC、プロジェクター、モバイルWi-Fi
  • 応接室の予約備品やセミナー用の音響機器
  • 展示会キット、社用スマートフォン、予備の名刺印刷機 

これらは「誰に、いつ、何を、どの状態で」貸して、また「いつ返ってきたか」を記録・追跡する必要があります。
そして、多くの場合、これらはExcelや手作業で行われているのが現実です。

モノの総数が増えるほど、現場は回らなくなります。
「貸し出し状況が分からない」「返却遅れに気づけない」「備品の損傷が誰の責任か不明」……
これらはすべて、人力での運用に限界があることを示すサインです。

■ 総務こそ、レンタルDXで変えられる

いま、レンタルビジネスを支えるITサービスが、企業の総務業務にも応用され始めています。
具体的には以下のような仕組みです:

  • 貸出・返却をWebフォームや社内ポータルで完結できる
  • 誰がいつ何を借りたかを自動記録し、履歴として残す
  • 備品ごとにRFIDやQRコードで個体管理できる
  • 返却期限のリマインド通知で回収漏れを防げる
  • 備品ごとの貸出頻度をデータとして可視化し、在庫最適化につなげる 

これらは、まさに**“レンタルSaaS”の仕組みを社内業務に転用した形**です。
ShareEaseのような“貸し借りを滑らかにする”思想が、企業内にも求められているといえるでしょう。

■ 人に頼る仕組みから、“運用される仕組み”へ

貸出管理を属人化すると、担当者の異動や不在時に混乱が起こります。
反対に、貸出・返却のプロセスを「見える化」「自動化」することで、
業務は特定の誰かではなく、“仕組み”に任せられるようになります。

これは、担当者の負担を減らすだけでなく、

  • 備品の利用状況の把握
  • 利用者からのフィードバック
  • 購入・更新タイミングの判断
    などの戦略的な情報管理にもつながっていきます。

つまり、総務部門が管理してきた「道具」たちは、
単なる備品ではなく、会社の“使われる資産”として運用されていくのです。

■ “社内シェア”から始める循環型マインド

また、こうした貸出DXの取り組みは、
企業内で**「一人ひとりがモノを大切に使う意識」**を育むことにもつながります。

  • 借りたモノの使い方に気を配る
  • 返却時に“次の人のために”整えて戻す
  • 備品を「みんなの共有財産」として扱う文化が育つ

これはまさに、循環型サービスに必要な共助的な視点です。
「自分のためだけに持つ」から、「みんなのために借りて使う」へ。
このマインドが、企業文化そのものをアップデートしていく可能性を持っています。

■ 終わりに:総務こそ、未来の“利用設計者”になれる

貸出管理は、地味で、雑務に見えがちな領域です。
しかし、「モノの使われ方を設計する」という点では、最先端のUXデザインに通じています。

その中で、総務部門が果たす役割は大きい。
効率化はもちろんのこと、
社員一人ひとりがモノを使いやすく、返しやすく、
そして共有財産として扱える仕組みをつくる。

その先には、
「貸し借りの面倒がない会社」ではなく、
**「モノを大切にする文化が根づいた会社」**という未来があるはずです。

弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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