ECとレンタルで“求められる現場設計”はまったく違う。
D2Cや小売事業者が「倉庫」と聞いたとき、まず思い浮かべるのはEC物流倉庫でしょう。
梱包、出荷、返品対応などが効率よく回るように設計されたそのオペレーションは、ECの成長を支えてきました。
しかし、レンタルビジネスにおいては、EC用の倉庫をそのまま使うことはできません。
なぜなら、「売る」と「貸す」では、在庫の扱いも、求められるオペレーションも、根本的に異なるからです。
本記事では、「EC用倉庫」と「レンタル用倉庫」の違いを紐解きながら、TENTが開発・運営しているレンタルストックの特徴と価値を紹介します。
■ EC倉庫は“出して終わり”の設計
EC倉庫に求められるのは、とにかく早く・正確に・大量に出荷する力です。
商品は入荷され、棚に格納され、注文が入ったらピッキングされ、梱包されて発送。
出ていった商品は基本的に「戻ってこない」のが前提です。
つまり、
- 商品の状態管理は限定的
- ラウンドトリップ(行って返る)という考えはない
- 返品は例外的な処理として扱われる
一方、レンタルではこの考え方がまったく通用しません。
■ レンタル倉庫に求められる“3つの視点”
① 返ってくることが前提
レンタル商品は必ず戻ってきて、再び貸し出される。
そのためには、
- 破損や汚れがないかのチェック
- 簡易的なメンテナンス(洗浄、消毒、動作確認)
- 簡易的な修理/修繕
- ラベル・タグ・バーコードでの個体識別
といった、再生と再出荷を前提としたオペレーションが必要です。
② モノごとの“状態のばらつき”に対応
新品商品を扱うECと違い、レンタル品は“使用履歴”が異なるため、
「今この在庫は貸し出してよいのか?」という判断が常に求められます。
このため、倉庫側には単なる在庫管理でなく、状態管理=品質判断機能が必要になります。
③ スケジュール連携が命
レンタルは期間契約です。
「●日〜●日までに●件の出荷がある」
「返却予定が遅れて、次の貸し出しに間に合わないかも」
こうした在庫の“時間軸”との戦いが、レンタルには必ず発生します。
このため、在庫管理とスケジューラーが連携した運用設計が不可欠です。
■ TENTのレンタルストックは“レンタルの現場”から生まれた
TENTが提供するレンタルストックは、
これらレンタルならではの課題に特化して設計された倉庫&運用サービスです。
- 全在庫を個体単位で管理(QRコード・RFIDにも対応)
- レンタルスケジュールと連動した在庫引当
- 使用後メンテナンスフローを標準化
- 未返却・破損・延長にも即応できるアラート設計
- 返品前提の物流設計(返却箱・返送ラベル・同梱資材)
これにより、クライアントは“商品を買い取って並べるだけ”では実現できない
レンタル体験の質とスピードを手に入れることができます。
■ EC倉庫をレンタルで使おうとした企業の“落とし穴”
あるアパレル企業は、自社のEC物流網を活かしてレンタル事業を始めようとしました。
しかし、いざ始めてみると…
- 返ってきた服の状態が確認できず、次の出荷でトラブル
- 洗濯や検品を委託しても、どこに何があるか把握不能
- レンタルできない未修理商品が大量に
- 管理システムが対応しておらず、Excel地獄に
結果的に、スタッフの工数は膨れ、クレームは増え、収益は上がらず。
1年で事業撤退を余儀なくされました。
「貸す」のは簡単そうに見えて、実は**“倉庫から逆算して設計すべきビジネス”**なのです。
■ レンタル事業を本気でやるなら、“倉庫の思想”から変えるべき
レンタルは、ただの販売チャネルではありません。
モノが循環し、人の体験が循環する、新しい価値の提供です。
だからこそ、倉庫=モノの起点と終点が、体験の質を左右するのです。
TENTでは、レンタルに最適化された倉庫インフラとオペレーションの提供を通じて、
さまざまな企業の「貸す」に伴走しています。
■ まとめ
もし今、あなたの会社が「販売以外の選択肢」としてレンタルに挑もうとしているなら、
まず考えてほしいのは**“何をどう届け、どう返してもらうか”**です。
その答えが、
- EC倉庫では対応できない
- でもゼロから作るのも難しい
と感じるなら、TENTのレンタルストックが、その一歩目を支える選択肢になるはずです。
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。