心理的な抵抗を超えるカギは「体験設計」にある
「借りるのはなんとなく気が引ける」「自分のモノじゃないと落ち着かない」──こうした声は、レンタルやサブスクのサービスを提供する中で、必ずと言っていいほど耳にするものです。合理的にも環境的にもメリットがあるとわかっていても、人は“借りる”という行為に、無意識の抵抗感を抱えていることがあります。
では、その心理的ハードルはどこから来て、どうすれば越えられるのでしょうか?本記事では、TENTがレンタル現場で得た学びとともに、「借りる」ことをもっと自然で心地よい体験にするためのヒントをお伝えします。
借りる=「一時的な所有」への不安
多くの人が感じる最初の心理的な壁は、「壊したらどうしよう」「返すのが面倒そう」といった、借りることのリスクに対する不安です。これは裏を返せば、「自分のモノではない」という感覚に由来しています。
実際に私たちが提供するレンタルサービスでも、「汚してしまったら…」「返品って複雑そう」という問い合わせは多くあります。つまり、“借りる”行為は、合理性やコスト面でのメリット以前に、「心地よい体験かどうか」が問われているのです。
借りたくなるのは、「借りやすい」から
そこでTENTが重視してきたのは、借りるという行為を「もっと軽やかに」するUX(ユーザー体験)の設計です。
たとえば──
- 返却はホテルのフロントやコンビニでOK
- 破損補償は標準で含まれていて安心
- 「そのまま購入もOK」という自由な選択肢
こうした“気遣いのある設計”が、ユーザーの中にある見えない不安をやさしく溶かします。
さらに印象的だったのは、ユーザーのこんな声です。
「きちんと整えられた状態で届いたから、自分も丁寧に使いたいと思えた」
これは、借りる体験そのものが「誰かとのつながり」を感じさせた瞬間でした。借りる行為が、単なるモノの受け渡しを超えて、“価値の共有”として立ち上がったのです。
「モノを借りる」は「安心を借りる」に変えられる
私たちは、「借りる」という行為をもっとポジティブに再定義したいと考えています。大切なのは、ユーザーが借りているのは“モノ”だけではないということ。実際には、
- 壊れても大丈夫という安心
- 必要な期間だけ使える自由
- そのあと誰かに届く循環の感覚
──といった、「環境」や「気持ち」も含めて借りているのです。
たとえば、ShareEaseのような考え方──つまり“モノを囲い込まず、社会の中でめぐらせる”という設計思想は、まさにこの再定義の核となります。自分が使い終えたモノが、次の誰かにとってのワクワクに変わる。そうした“やさしい循環”に自分も参加していると思えることが、借りることへの心理的障壁を確実に下げてくれるのです。
“貸し手”の姿勢が“借り手”の気持ちを変える
もう一つ重要なのは、サービス提供側の姿勢です。ユーザーは、貸し手の「信頼されている」というメッセージに強く影響されます。
- 「安心してお使いください」と書かれたカード
- 丁寧に梱包されたパッケージ
- 万が一のためのフォロー体制
こうした一つひとつが、“借りることへの許可”となり、「気を使って借りる」のではなく、「歓迎されて借りる」という感覚へと変化していきます。
おわりに:借りることを、もっと自然に
「借りること」は、本来とても人間的な行為です。かつて私たちは、近所で道具を貸し借りしたり、友人と服をシェアしたりして暮らしてきました。それがいつしか「新品を買うのが当たり前」という感覚にすり替わっていったのです。
だからこそ今、「借りる」という選択をもう一度、自分の中に取り戻すことが、これからの時代に合った“軽やかな暮らし”をつくる第一歩なのではないでしょうか。
TENTはこれからも、“借りる”ことがもっと自由で、気持ちよくて、共感できる体験であるよう、サービス設計の一つひとつに心を込めていきます。
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。