所有から体験へ──価値観の変化が循環型ビジネスを後押しする
「モノは持たなくていい」「必要なときに使えればいい」──そんな価値観が、Z世代(1990年代後半〜2010年頃生まれ)を中心に広がっています。彼らはデジタルネイティブであり、生まれたときからサブスクリプションやシェアリングエコノミーに親しんできた世代。そんなZ世代の消費行動の変化が、いま、循環型ビジネスに新たな追い風をもたらしています。
本記事では、Z世代の特徴とその背景を踏まえながら、なぜ「買わない」が当たり前になるのか、そしてそれがビジネスにどんな変化をもたらすのかを掘り下げます。
Z世代の価値観:モノより意味、所有より経験
Z世代の消費傾向は、「所有=豊かさ」という旧来の価値観とは異なります。彼らはモノそのものよりも、それを使って得られる体験や共感に価値を見出します。
- ファッションは「着たいときに借りる」
- 家具は「一人暮らしの間だけ必要」
- 家電は「引っ越すたびに変わる」
つまり「今の自分に合うものを、今だけ持てばいい」という発想です。コスパやタイパを重視し、社会貢献やエシカルな取り組みにも関心が高く、この一時的で柔軟なスタンスは、サブスクリプションやレンタルと非常に相性がよく、循環型サービスに自然に馴染んでいきます。
「買わないこと」に後ろめたさがない
上の世代にとって、“借りる”や“中古を使う”ことにはどこかしら「一段下」の印象が残っていました。しかしZ世代にとってはそれが当たり前。むしろ**「使い終わったら手放す」方が合理的でスマート**だとさえ感じています。
さらに、「環境への負荷を減らす」という倫理的な側面にも共感しています。気候変動や資源問題に関心の高いZ世代は、自分の選択が社会に与える影響を意識しており、使い捨ての消費よりも、モノがめぐる循環に参加することに誇りを持つのです。
彼らにとって“使える”ことが“正義”
TENTが提供するレンタルサービスでも、Z世代ユーザーの利用は年々増加しています。たとえばこんな声があります。
「服も道具も、ずっと持っていたいわけじゃない。今の自分にフィットしているかどうかが一番大事」
「買って後悔するより、試して納得してから選びたい」
Z世代にとって重要なのは、“モノの所有”よりも“選択の柔軟性”や“使い心地のよさ”です。シェアリングやレンタルサービスの利用は、もはや代替手段ではなく、最初の選択肢になりつつあるのです。
ブランドが選ばれる基準も変わっている
Z世代は、「企業が何を作っているか」ではなく、「企業がどんな価値観を持っているか」でブランドを選びます。
- 環境配慮の姿勢があるか?
- サステナブルな仕組みを持っているか?
- 共感できるストーリーがあるか?
モノがどこから来て、誰の手を経て、どこへ行くのか。その“循環の物語”に共感できるかどうかが、購買や利用の大きな判断軸になっているのです。
こうした価値観に応えるブランドやサービスは、Z世代の中で“応援される存在”として定着していきます。ShareEaseのように「必要なときに、必要な人へ、なめらかに価値がめぐる」体験設計は、まさにこの世代の心を捉える設計思想と言えるでしょう。
循環型ビジネスがZ世代から学ぶべきこと
Z世代の消費行動を見ていると、ビジネスの常識も見直す必要があることに気づきます。
- “売る”前提を手放す
→ 試せる、借りられる、分け合える構造に。 - “所有”をゴールにしない
→ 必要なときにアクセスできることが満足のカギ。 - 共感の物語を用意する
→ どんな循環の中に自分がいるのか、伝える努力を。
こうした視点があってこそ、Z世代と本当の意味でのつながりを築けるサービスになっていきます。
おわりに:「買わない」ことが、未来をつくる
Z世代は、“何を持っているか”ではなく、“何に共感しているか”で消費を選びます。モノを買うことは特別な意味を持たず、むしろ「借りる・返す・めぐらせる」といった循環の一部であることにこそ価値を見出しています。
そんなZ世代の存在は、循環型ビジネスの未来を大きく後押しする存在です。彼らの行動は一過性のトレンドではなく、これからのスタンダードとなっていくでしょう。
だからこそ、私たちが今取り組むべきは、“売れる仕組み”ではなく、“めぐる仕組み”を育てること。Z世代が自然と参加したくなるような、やさしく、自由で、共感できる循環の設計こそ、次のビジネスの土台になるのです。
弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。