「壊されるかも」は幻想だった

「壊されるかも」は幻想だった

インバウンド観光客とモノの“やさしい関係”

訪日外国人旅行者が増え続ける中、レンタルビジネスにも新たな波が来ています。私たちも観光客向けにモノのレンタルを提供する機会が増え、当初は正直なところ、不安もありました。これまで接していなかった新たなセグメントであるため、

「雑に扱われたらどうしよう」
「返ってこなかったら…」
「文化の違いでトラブルになるかも」

しかし、実際にサービスを提供してみて、私たちの懸念は杞憂だったと気づかされました。むしろそこには、想像以上に丁寧で、やさしい関係が広がっていたのです。

荷物を減らしたい、でも質を妥協したくない

外国から訪れる観光客にとって、旅の荷物はできるだけ軽くしたいというのが本音です。特にスキー用品やキャンプギア、ベビーカー、ガジェット類など、かさばる道具はなるべく持ち込みたくないもの。一方で、日本で過ごす時間は快適に、妥協のない体験にしたいという思いも強い。こうしたニーズに応えるのが「レンタル」という選択肢です。

たとえば、世界的に評価される日本のパウダースノーを楽しむ際に、低品質なレンタルギアではその体験を大きく損なってしまいます。にもかかわらず、これまで高品質なレンタルサービスは極めて限られており、訪日外国人に十分に知られることもありませんでした。

実際にサービスを利用されたお客様の多くは、事前に丁寧に説明を読み、細かな点まで確認するためにお問い合わせをくださいます。そして借りたモノは、想像以上に大切に扱われ、返却時の梱包も非常に丁寧。多くのケースで「まるで新品のような状態」で戻ってきました。

モノを大切にするのは、相手を大切にすること

なぜ、ここまで丁寧に使ってくれるのか。そこには「相手(貸し手)への敬意」があると感じました。異国で借りたものを丁寧に使い、きちんと返す。それは文化を尊重し、関係性を大切にしたいという気持ちの現れではないでしょうか。

このような“やさしい関係”は、単にモノのやりとりだけでは生まれません。私たちが提供しているのは、「商品」だけではなく「信頼」や「安心」でもあると考えています。

丁寧なコミュニケーションが、丁寧な使い方を生む

印象的だったのは、ある台湾からの観光客とのやりとりです。英語と中国語を織り交ぜながら、こちらから使用方法や返却方法を丁寧に説明したところ、感謝のメッセージとともに、想像以上に丁寧に梱包された返却品が戻ってきました。

「ちゃんと伝わっている」という実感が、ユーザー側の行動に確実に影響していると実感しました。

結局のところ、借りた人がモノをどう扱うかは、モノそのものの価値よりも「どんな関係の中で受け取ったか」によるのではないか。そんな学びを得た出来事でした。

グローバルなユーザーは、循環型意識が高い

さらに気づいたのは、海外からの観光客ほど「レンタルはサステナブルな選択」として自覚的であるということ。環境負荷を減らすために「必要な時だけ使う」という行動が自然に選ばれているのです。

“買わない選択”がスマートであるという感覚。モノが“めぐること”をポジティブに受け入れている姿勢は、ShareEaseのような「必要な人のもとに、なめらかにモノを届ける」循環の考え方とも通じ合っています。

おわりに:「信用されている」と感じてもらう設計を

レンタル事業において、盗難や破損への警戒は確かに必要です。しかし、その一方で、「借り手を信用する」という設計思想が、返ってくるモノの扱いを変えるのではないか。そう感じています。

丁寧な説明、柔らかい言葉づかい、受け取る側の不安を払拭するUX。こうした小さな工夫が、ユーザーの行動を変え、“モノとのやさしい関係”をつくっていきます。

私たちはこれからも、ただレンタルするのではなく、「信頼を前提とした循環体験」を届けていきたいと考えています。

 

弊社株式会社TENTでは、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、循環型ビジネス/レンタルビジネスの実施に関するご相談をお受けしております。新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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