公開/更新日:2/14/2024
「レンタルビジネスを始めてみたものの、イマイチ利益が出ていない」
「売上は出ているが、利益を出すのに苦労している」
レンタルビジネスを始めてみたものの、利益が思うように伸びず、苦労していませんか?
レンタルビジネスは、通常のEC販売のような買い切りの取引とは違い、できるだけ多い回数をレンタルで回すことで利益を上げるビジネスです。
中長期的にコツコツと利益を上げていくビジネスモデルであるため、安定した利益を生み出すためには、「利益率」をベースとした戦略的な利益計画に基づいて事業を運営する必要があります。
この記事では、レンタルビジネスで利益率を上げるための施策を解説していきます。
レンタルビジネスにおける利益率の基本や考え方から丁寧に解説していますので、ぜひレンタルビジネス運営の参考にしてみてください。
レンタルビジネスで大切な利益率、知ってる?
利益と利益率とは
利益率とは事業において、売上高に対する利益の割合を示す指標のことです。
そもそも「利益」は、一般的に以下の5つに分けられます。
- 売上総利益(粗利益)
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
会計処理上では5つの利益すべてが重要になりますが、「レンタルビジネスが軌道に乗っているかどうか」を見極めるうえで押さえておくべきなのは「売上総利益(粗利益)」「営業利益」の2種類です。
それぞれの利益は以下のようなポイントがあります。
- 売上総利益(粗利益):
売上高から商品原価を差し引いたもの。レンタル商品単位での純粋な売上の利益を見極められる。 - 営業利益:
売上総利益から給与、広告費、通信費、手数料などの販売管理費を差し引いたもの。レンタルビジネス全体を通して、事業の成長性や将来性などを見極めることができる。
ここで本題に戻りますが、利益率とは、これらの利益が売上高のうちどのくらいの割合を占めているかを示します。
利益率の計算方法
売上総利益率(粗利益)は、一般的に以下の計算方法で算出することができます。
売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
ただしレンタルビジネスの場合は、通常のEC販売のような買い切りの取引とは違い、何度かレンタルをしてもらうことで初めて利益が生まれるため、その観点を考慮して計算する必要があります。
【例】家電10台をレンタルサービスとして取り扱う場合…
以下の条件でレンタルされた場合
- 家電の仕入れコスト:¥1,000,000(1台あたり¥100,000)
- レンタル料金:¥10,000(1ヶ月あたり)
- すべての家電が1ヶ月レンタルされる
→ 1ヶ月の売上高は¥100,000となり、12ヶ月で¥1,200,000
上記のようなケースで売上総利益率(粗利益率)を求める場合、
売上総利益率 = 売上総利益(仕入れコストを引いた¥200,000)÷ 売上高(¥1,200,000)× 100
という計算式になり、年間での利益率はおおよそ16%となります。
利益率はレンタル商材によって大きく変動するほか、レンタル商品をそのまま購入するRent to ownや、限界レンタル回数後のリユース販売などの取り組みを行っている場合は、利益率を考えるうえで考慮すべきポイントも増えます。
利益率を上げるためには
ここまで利益率に関する基本知識や計算方法を解説してきましたが、利益率には「顧客単価」「商品原価」「販売管理費(経費)」が関係していることが分かります。
レンタルビジネスに置き換えると、利益率を上げるためには以下の3つを押さえて施策を考えることが重要です。
- 顧客単価を上げる施策
- レンタル商品の仕入れコストを見直す施策
- 販売管理費(経費)を見直す施策
具体的にレンタルビジネスで利益率を上げるための施策は以下の通りです。
レンタルビジネスで利益率を上げるための7つの施策
【1】顧客単価を上げる施策
利益率を上げるために最も重要なのが、ユーザー1人あたりの顧客単価を上げる取り組みです。1人のユーザーにできるだけ単価が高い商品・サービスをレンタルしてもらい、単価のアップを狙いましょう。
アップセルやクロスセルを狙う
アップセル/クロスセルとは
- アップセル:
同ジャンルでより高額な商品をレンタルしてもらい、顧客単価を上げること。 - クロスセル:
関連するレンタル商品をユーザーに対しておすすめし、一緒にレンタルしてもらうこと。
例えばアップセルでは、「この空気清浄機よりもこちらの空気清浄機が最新で人気です」というな提案を行い、ユーザーに同ジャンルでよりランクの高い商品をレンタルしてもらいます。
クロスセルでは、「この空気清浄機だけでなく、サーキュレーターも併せて使うと、お部屋の空気が循環しやすくなります」という提案を行い、想定していた商品に加えてさらにレンタル利用を促す狙いがあります。
まとめてレンタルを促す
ユーザーにまとめてレンタルを提案することで、顧客単価のアップを狙います。
例えば家電レンタルの場合、「一人暮らしのユーザーが、引っ越し直後に揃わない家電をレンタルする」という需要があります。「一人暮らしスタートパック」のような形でレンタル特集を組むことで、準備に時間がかかりがちな大型家電をまとめてレンタルしてくれる可能性が上がります。
【2】商品の仕入れコストを見直す施策
レンタルビジネスの基本は、「安く仕入れて、できるだけ多い回数をレンタルで回す」です。
そのため、商品の仕入れコスト抑えることができれば、必然的に利益率が上がりやすくなります。
卸売販売業者から仕入れる
レンタル商材を卸売販売業者などから仕入れることで、仕入れコストの圧縮につながります。
ある程度まとめて大規模に仕入れを行う必要があるため、レンタル商材によって使い分ける必要があります。
リユース商品を仕入れる
レンタル商材の仕入れを新品からリユース商品へ切り替えることで、商品の仕入れコストを圧縮することができます。
商品状態が整っていれば問題なくレンタルサービスに利用ができますが、リユース商品(中古品)を仕入れてレンタルする場合は、事前に古物商許可を取得しておく必要があるため注意が必要です。
【3】販売管理費(経費)を見直す施策
顧客単価と仕入れコストを見直したあとは、経費を見直してみましょう。インパクトの少ない小さな変動ですが、コツコツ積み重ねて取り組むことで、大きなコストの見直しにつながります。
オペレーションを見直す
レンタル業務全体のオペレーションを見直すことで効率化が図られるため、「人件費」「各種管理費」などが削減されます。
具体的に以下の例があります。
- 梱包の見直し
- 発送方法・送料の見直し
- 一連の業務プロセスの委託(フルフィルメントサービス)
- 在庫管理方法のシステム化
特に、「梱包」「発送」「返却」のプロセス(フルフィルメント)は業務比率も高いため、手段やオペレーションを効率化することで大きな経費削減につながります。
人件費が大きくかかる「発送・返送業務」や「在庫管理」は、外部委託やシステムの導入を行うことで業務の効率化にもつながり、大きな効果を発揮します。
広告費を削減する
集客方法として広告を運用している場合は、効果の少ない/パフォーマンスの低い広告は思い切って広告を削減し、運用コストの低い集客方法へ変更してみるのも手段の1つです。
特にSNS運用/ブログ・メディアの運営/レンタルECモールへの出店は、低コストから運用ができ、中長期的な集客効果も見込めるのでおすすめです。
チェックリスト・マニュアルの整備
チェックリスト・マニュアルの整備は、品質の維持や経費の削減につながります。
例えば、レンタルビジネスの中でも業務比率が比較的多い「検品」「クリーニング」「メンテナンス」業務は、事前に業務内容をマニュアル化したり、レンタル時に「商品取り扱いの注意点」「お客様側で行うべきチェックリスト」などを同封しておくことで、商品品質の維持や業務効率化につながり、結果的に経費の削減を狙うことができます。
コツコツとした施策を積み重ねて、利益率を上げましょう
レンタルビジネスで利益率を上げる方法まとめ
- 利益率は売上高に対する利益の割合を示す指標のこと
- 利益率は「顧客単価」「商品原価」「販売管理費(経費)」で決まる!
- 「アップセル」「クロスセル」で顧客単価を上げる
- 仕入れ方法を見直して仕入れコストを下げる
- 業務プロセスを見直して販売管理費(経費)を下げる
レンタルビジネスで安定した売上を実現していくためには、利益率を算出し、事業が軌道に乗っているのかを見つめることが大切です。
自社のレンタル商材やサービスを改めて分析し、どうすれば利益率が上がるのか、常に分析しながら運営していきましょう。
弊社では、お客様とレンタル事業者をつなぐプラットフォームを運営してきたノウハウから、レンタルビジネスの開業に関するご相談をお受けしております。レンタルビジネスを新たに始めるにあたってお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。